充足感は満たされず、再び転職の道へ
J社での勤務も7ヶ月を過ぎ、新規契約は増えてきましたが、10年後の自分の姿が想像できず、モヤモヤとした日々が経過しておりました。
電話だけでは、一時的に商品は売れても継続的にコミュニケーションをとることが自分にとっては難しかったからです。
会社の諸先輩方は20年前から今日まで、電話営業で11億という数字を作ってきたのですからすごいなと正直に思っておりました。電話営業という手法が自分には合わなかったとしか言いようがありません。
J社の従業員はどこか家族的な雰囲気もあり、いわゆる嫌な人間というのも存在しなかったので人間関係ではほとんどストレスはありませんでした。今振り返ればこのJ社に早々と見切りをつけてしまったのが、その後の悪い流れを引き寄せたと思うことはしばしばありました。せっかく評価してもらった会社に1年も経たずに自ら背を向けたのですから。
評価と期待をしてもらった会社だからこそ、自分に合わないという理由で辞めますとはさすがに言えませんでしたので、何とか踏ん張っていこうという気持ちも半分は残っておりました。
そして9ヶ月が経過したある日、降って湧いたような転職話が転がり込んできたのです。
その話の出処は私の母でした。J社に転職してからも、常々から電話営業が自分には合っていないことなどを妻や母にも愚痴っていました。
ある日母が福岡で知り合って間もない友人に、息子である私の仕事の話をしたところ、母の友人が「私の従弟がT社という建築会社を経営しており、資格を取らせて後継者を育てたいと言っていたので、45歳でも大丈夫か聞いてあげる」と言いその結果、社長は少し思った年齢よりも上だが一度面談してもいいよとの返答でした。
そして母は早速、私にその話を持ってきたのでした。