たなぼた転職話
お恥ずかしい話、転職を決めたならすぐにでも、次の職探しに奔走しなければなりませんでした。にもかかわらず当時の私は、20年以上もいた会社に対してはしっかりと義理を果たし、得意先や後輩には混乱や迷惑をかけたくないとの思いで、転職活動にはそこまで本腰をいれてませんでした。週末のみ大阪のハローワークで福岡の求人を見るにとどめていたのです。
一方、退職までは引き継ぎ業務に集中しました。その間、故意にしている得意先の担当の人達からは、心配の声や激励、または無謀だという意見もありました。
そんなある日のこと、一番付き合いの深かった得意先のWさんから電話がありました。「マッサンのことを同じ業界のI社の営業部長に話したら、福岡営業所の補充人員を探しているらしいよ!もちろん面接受けるよな!」とのこと。私にとってはまさに棚からぼた餅、二つ返事で面接をお願いしたのである。
I社は今の会社より規模も大きく、転職先としては理想でした。Wさんは、I社の得意先でもあり、よほど心象を悪くしなければ受かるはずだと思い込んでおりました。家に帰り妻に「喜んで!!願ってもない話が来たんだ!」と報告しました。
妻は「たしかに理想的な話だけど、浮かれすぎじゃない?まだどうなるかわからないでしょ!」との忠告がありました。だけどこの時の私は、妻の忠告すら聞く耳を持ちませんでした。私はWさんの紹介でもあるので断られることはまずないと、完全に高をくくっていました。
しかし・・妻の予感は的中したのでした。